2025年3月、北斗七星から発信されている電波の謎がオランダ電波天文学研究所などのチームによって解明され、話題になりました。
この内容が結構専門的で理解しづらかったので、誰でもわかりやすくまとめました。
結論:赤色矮星と白色矮星の連星の磁場による電波
発信源は、北斗七星ではなく、赤色矮星と白色矮星の連星。
この二つの星の位置関係によって、双方の磁場が絡むことで磁場が生じる電波だったとのこと。
これだけ聞いても、よく分かりませんよね。一つ一つ調べたので、紐解いていきます。
赤色矮星と白色矮星って何?
矮星とは?
矮星とは、比較的小型で低質量の恒星やその残骸のことを言います。
恒星というのは、核融合を行うことで自ら光を放つ天体を指します。太陽をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか?太陽は宇宙から見ると中規模の天体なので、矮星には当てはまりませんが、性質は同じです!
赤色矮星とは?

赤色矮星は宇宙において最も一般的な恒星のタイプであり、銀河系内の恒星の約70~80%を占めると推定されています。非常に寿命が長く、宇宙ができてからまだ寿命を迎えた赤色矮星は存在していません
白色矮星とは?

白色矮星は、恒星の進化の最終段階である、非常に密度の高い天体です。
太陽のような恒星が核融合を終えると、最終的に爆発的に膨張するのはなんとなくイメージができるのではないでしょうか?
その後、中心部に残った核が縮小して白色矮星となるのです。
すなわち、白色矮星とは、恒星の死を意味します。
赤色矮星と白色矮星の違いは?
1. 形成過程
- 赤色矮星 核融合を行っている現役の恒星です。恒星が水素を燃焼させてエネルギーを放出しています。
- 白色矮星 核融合を終えた恒星の残骸です。エネルギーを生み出していませんが、爆発の時に熱を大量に蓄えているため青白く輝いています。これが完全に冷えて暗くなると黒色矮星になると言われています。黒色矮星はまだ宇宙の寿命的に存在してないようです。
2. 大きさと密度
- 赤色矮星 大きさは木星程度から太陽の半分程度で、密度はそれほど高くありません。
- 白色矮星 白色矮星は非常に小さいにも関わらず、太陽の密度の約70万倍にもなるほど高密度です。地球ほどの大きさでありながら、質量が太陽と同程度になることもあるみたいです!
⒊ 磁場の強さ
- 赤色矮星 内部が完全に対流する構造になっているめ、恒星全体で強力な磁場を生成します。地球でも内部では対流が起こっていますが非常に部分的であるため、磁場は小さいです。
- 白色矮星 恒星が地球サイズに圧縮されるときに、恒星の磁場の量がそのまま保存されます。これによって磁場の強度が濃縮され、非常に強力な磁場を生じます。
項目 | 地球 | 白色矮星 | 赤色矮星 |
---|---|---|---|
磁場の強度 | 0.25~0.65ガウス | 数万~10億ガウス | 数百~数千ガウス |
生成メカニズム | 外核のダイナモ効果 | 磁束保存則+圧縮 | 完全対流によるダイナモ効果 |
赤色矮星と白色矮星の相互作用で何が起こるの?
共通重心の周りを公転
今回発見された赤色矮星と白色矮星は、お互いの重力によって引き付け合い、「共通重心」を中心にして互いに公転しています。この状態のことを連星と呼びます。
公転周期がわずか2時間というのは非常に短く、両星が非常に近く接していることを示します。
一直線に並ぶタイミング

地球から見て、白色矮星と赤色矮星が手前と奥に一直線上に並ぶ瞬間が発生します。日食や月食みたいなイメージですね。今回の電波は、この一直線に並ぶタイミングで地球に向けて電波が発信されていたと思われます。
定期的に電波を発信しながら回転していたので、灯台のように一定間隔で電波が届くのが観測できます。
磁場の相互作用
白色矮星と赤色矮星のそれぞれが強い磁場を持っています。今回は2つの星が連星になっているため、その磁場同士が干渉し合います。
2つの星の磁場が近くで重なり合うと、磁場が引っ張り合ったり、絡み合ったりします。
磁場が絡み合って変動すると、星の周囲にある粒子が動き始めます。動く粒子が電流となり、この電流がエネルギーを持つ電波を作り出します。
地球から見て、赤色矮星と白色矮星が一直線に並ぶ2時間おきのタイミングに、電波の放出が地球を向くので、このタイミングで生成された電波が地球に届くため、2時間周期の電波として観測されます。
おわりに
宇宙のことを調べるとワクワクが止まりませんね。個人的に調べてて一番驚いたのは、まだ黒色矮星が観測できないほど宇宙の年齢が若いということでした。電波と関係ないですが笑
宇宙では日常的に電波が発信されているので、宇宙からの電波が観測されることは珍しくありません。
今回は2時間おきの周期というのが、よく観測されるパルサー(高速回転する中性子星)からの電波より非常に間隔が長くて珍しい現象だったようです。
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