猫の腎臓病治療、AIM新薬が2027年に実用化!?どんな効果がある?

猫を飼ってる方なら、猫は腎臓が弱いというのは聞いたことがあるのではないでしょうか?腎臓ケアのフードがたくさん発売されており、若猫の頃から腎臓をいたわって育てられてきた猫でも、最終的には腎臓病で命を落とすことがほとんど。

しかし近い将来そんな猫の腎臓病がなくなるかもしれないのです。

この記事では、宮崎先生による研究内容、いつから実用化が予定されているのか、それによって変わる猫の一生について解説します!

目次

猫は腎不全になりやすい

猫の死因の第一位を占める、腎不全。

飼い猫の死因は、この3点が多いですが、腎臓病についてはほぼ全ての高齢猫が発症するとされています。

  1. 泌尿器系の疾患(約30%)
    慢性腎不全はほとんどの高齢猫に見られます。
  2. 腫瘍(約20%)
    がん(悪性腫瘍)が含まれ、リンパ腫や乳腺腫瘍などが代表的です。
  3. 循環器系の疾患(約12%)
    心筋症や心不全など、心臓に関連する病気が含まれます。

猫が腎臓病になりやすい理由

宮崎徹先生により、長年謎だった猫がなぜ腎臓病になりやすいのか、その理由が解明されました!!

猫は腎臓のゴミを片付ける機能がとても弱い!

「AIM」というタンパク質は、腎臓にたまったゴミを片付け、腎臓の修復を助けます。しかし、猫のAIMは他の動物と異なり、腎臓の機能が低下してもゴミを片付けてくれないのです!

AIMってなに?

AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)を日本語に訳すと、「マクロファージのアポトーシス抑制因子」となります。

  • Apoptosis「アポトーシス」=細胞の死。
  • Inhibitor「抑制因子」=何かを抑制する物質。
  • Macrophage「マクロファージ」=免疫細胞の一種。

つまり、「異物や老廃物を除去してくれるマクロファージが死んでしまうことを抑制する物質」という意味です。

腎臓がダメージを受けると、AIMが活性化し、これらの不要物に付着して「目印」となります。その結果、マクロファージなどの免疫細胞が集まり、老廃物を掃除する仕組みです。

なんで猫は腎臓病になりやすいの?

そんなマクロファージは、腎臓でも発生する老廃物や死細胞を食べて除去する役割を持っています。

しかし、猫については腎臓でマクロファージが働きづらいのです。

それはマクロファージの目印となるAIMの特徴にあります。AIMは単独では構造が不安定になってしまうため、IgMという抗体と結合して構造を安定させています。

ほかの動物では、腎臓に老廃物が蓄積すると、AIMがIgMから離れて腎臓へ移動し、老廃物とAIMが結合、それをマクロファージが目印にして食べに行きます。

しかし、猫のAIMはネズミの約1,000倍の強さでIgMに結合しており、IgMから離れることができずAIMが腎臓へ移動できないのです。

このため、腎臓がダメージを受けている時であってもAIMが十分に活性化されず、腎臓の中の尿の通り道に老廃物が詰まり、腎臓病になってしまいます。

そんな猫の腎臓を救う新薬が…!

宮崎徹先生は、AIMを活性化する治療法の開発をしており、これが猫の腎臓病治療の希望の星になると言われています!

宮崎先生の研究内容

AIMがIgMという抗体と強くくっついてる状態をマウスで再現!

このネコ化AIMマウスと、普通のマウス(AIMが自由に動ける状態)を比較。

普通のマウス: 腎臓の問題が起きてもAIMが自由に働いて腎臓のゴミを片付けた。その結果、腎臓の機能がすぐに回復して生存。

ネコ化AIMマウス: IgMと強くくっついてるせいで腎臓のゴミを片付けられず、腎臓が回復しない…。その結果、腎臓が機能せず、3日以内に全滅。

このネコ化AIMマウスに自由に動けるマウスAIMを与えると、腎臓のゴミを片付けられるようになって腎臓が改善。

→同じことを猫でもやればいいじゃん!

自由に動けるAIMを猫に与えれば、腎臓病の治療ができる…!?

詳しくはこちらのプレスリリースをお読みください↓

https://www.amed.go.jp/news/release_201601013.html

マウスでは実験成功までしちゃってたんです!これは実用化もすぐなのでは!?

宮崎先生は、実用化の可能性について、「科学者的にはほぼ100%」「もう80%ぐらいの段階には来ている」と語っています。

既に腎臓病になった猫にも効果アリ!

AIM新薬は、腎臓病にかかっている猫にも効果が期待されています。ただし、現時点では腎臓病を完全に治すことは難しいようです。

健康な腎臓機能が戻ってくる!

AIM新薬は、腎臓内に蓄積した老廃物を除去し、腎臓の機能を改善することを目指しています。これにより、腎臓病の進行を遅らせたり、症状を緩和することが可能です。

腎臓病で併発した症状は治らない

重症化してしまってからは、貧血などの他の症状を併発してしまっているので、その部分コントロールは必要になるようです。そのため、完治できるとは言えないようです。

また、マクロファージやAIMを原因としない腎臓病については効果は弱そうですね。

宮崎先生曰く、治験では最後のステージでかなり悪い状態になっていた猫でも、AIM治療薬を注射すると元気になってご飯を食べ始める猫が何頭もいるとのこと。

新薬の登場で大きく変わる猫の一生

これだけでも新薬がいかに画期的な発見かわかりますが、それによって猫と飼い主の生活はどのように変化するのでしょうか?

予防的投与が当たり前に!?

AIM新薬は、腎臓病の初期段階から使用することで、病気の進行を抑えるだけでなく、腎臓の機能を維持する役割を果たします。

これにより、猫は腎臓病の症状を発症ことなく過ごすことができるようになるかもしれません!

猫はもともと腎臓病のリスクが高いので、将来的には予防的に使用するのが当たり前になるかもしれませんね。

治療の負担が軽減!

AIM新薬は定期的に接種が必要な注射薬として開発されているようです。

従来の治療法に比べて猫への負担が軽減されるとされています。また、治療の頻度が少なくなることで、飼い主の負担も軽減されるでしょう。

宮崎先生いわく、費用も飼い主の負担にならないよう奮闘してくれているようです。

猫の寿命が30年になる!?

猫はいずれ腎臓病になってしまうというのは宿命と思われていましたが、これが治療可能になることで、猫の寿命が飛躍的に伸びる可能性があります!

実用化までのスケジュール

宮崎先生は、Xで定期的に状況を共有してくださっています。

現時点では予定通り進行しており、2025年春から臨床試験を開始するようです!

現状の実用化までのスケジュール

2025年4月 臨床試験開始予定

2026年春 農林水産省に承認申請予定

2027年春 実用化予定

過去の新薬実用化の流れ

参考に、ゼンレリア錠(犬のアトピー性皮膚炎治療薬)が実用化に至るまでの流れやスケジュールをまとめました。

2018年~2020年: 基礎研究期間

2021年~2022年: 非臨床試験にて有用性と安全性が確立

2023年: 臨床試験開始。

2024年: 臨床試験終了。

    規制当局への承認申請。

    同年11月に承認され、販売開始。

これを見ると、AIM新薬が実現するのも意外と早いかもしれませんね!

その他、動物用医薬品協会が公開している実用化フローも是非参考にしてみてください。

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開発の流れ - 公益社団法人日本動物用医薬品協会 企画開発 医薬品のうち、動物を対象としたものを“動物用医薬品”と言いますが、一言に『対

薬はまだだけどフードは発売

薬は承認までの道のりが大変なようですが、宮崎先生監修のAIM活性化成分配合の療養食は発売されたようです!

気になる方はチェックしてみてくださいね!

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